毒舌な航空自衛官は溺れる愛を捧げたい
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緊急発進が鳴り響いた。侵入機が紛れ込んだらしい。
いつものように装具を身に着けて戦闘機体のF- 15のコックピットに乗り込み、緊急発進をする。
編隊飛行を崩さないように、地上から下される指揮で俺たちは動く。一秒たりとも遅れてはいけない。こうして見つけた侵入機から、領空を、国民を守る。
――一瞬の油断もできない。そう、できないずなのに、俺は油断した。
重力加速度のかけすぎで、圧に耐えきれなくなった機体はバランスを崩した。
運良く事故にはならなかったけれど、張り詰めていた緊張が一気に溶けてしまうような恐怖を覚えた。
もし仮に地上に落ちていたら、自分が死ぬだけでは済まない。
以前柏に言った、
『小さいミスが事故の原因になるんだよ。国民を傷つけることがあったらどうすんだ? 俺たちは国民を守るためにいるんだよな!? わかってんのか?』
この言葉が脳裏を過ぎった。
国民を守るはずの俺が、傷つける立場になっていたかもしれない。