毒舌な航空自衛官は溺れる愛を捧げたい



 お母さんの、

「スミマセン、この子、戦闘機が大好きで。お話して下さってありがとうございました」

 お礼の声と共に、さとるくんの手がお母さんの手と綱がれた。

「お姉ちゃん、ぼく、たまにママとここにくるから、また戦闘機について話してくれる?」

「うん。また話そうね!」

「うんっ! ぜったいだよ!」

 バイバイと手を振り、さとるくんはお母さんと一緒に店内から出て行った。

 離れてしまってスミマセンと、すぐにレジへ戻ると、おばさんは私に向かって口を開いた。

「果林ちゃん、戦闘機詳しいの?」

「あっ、はい……実は私も戦闘機が好きで。女なのにって思いますよね……」

「素敵だわ。果林ちゃんにお願いがあるんだけど聞いてくれるかしら? 果林ちゃん、今恋人はいるの?」

「いえ……、働いてもいなかったので、出会いもなくて。お恥ずかしながら一度も恋人ができたことがありません……」

 ――私は人生で一度も恋人ができたことがない。

 近づいてくる男子はいたが、戦闘機の話をすると変な目で見られ避けられるようになる。航学にいた頃は話しかけられても適当に受け流していた。

 彼氏がほしいと思ったことはあるけれど、誰でも良いわけではない。かといって同じ趣味の男性が良いと思ったこともない。

 恋愛に対して、自分から行動に移すことはしなかった。

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