十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

 下心丸出しで声を掛けようと近づいてくる令嬢達に微笑みかけ言葉を詰まらせたその隙に、私は颯爽と一人教室へと向かった。

 教室の一番後ろの隅の席を確保した私は、一応のために持って来た日記をこっそりと取り出した。

「昨日が聖クラチア祭だから……今日が……」

 白紙のページを睨みつけるようにして、記憶を遡る。

 でも思い出せるのは、昨日のサラに対しての嫉妬が爆発した悪口ばかり綴っていた気がする……。

 そこじゃないのよ。思い出したいのは次の日なのに。

「聞きまして?本日編入生が来るそうですわよ」

「三学年のこの時期に来るなんて……珍しいですわね」

 教室の前の方で噂が大好きな令嬢達の会話を盗み聞きして、記憶が結びつく。

 そうだわ!今日は、サラがこの魔法学校に編入してくる日!!

 始業式が終わってしばらく経ったこの時期の編入は中々に珍しいと皆の注目の的になっていた。

 それもそのはず。地方の小さな魔法学校に通っていたサラは、昨日殿下を助けた聖女の力故に、平民だったサラの家に男爵位が与えられ、多くの跡取り貴族が通う名門校に通うことになるのだ。

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