約束された結婚ーー鬼の花嫁は初恋相手と運命の相手に求婚される


 目を開けるとーー見知らぬ天井。

「ここは?」

 掠れた声で呟き、辺りを見回していたらドアが開いた。

「浅見さん? 意識が戻ったのね? あぁ、先生をお呼びしなくては!」

 わたしの加減を確認する女性は看護師の格好をしている。ということはここは病院か。
 未だ意識がぼんやりしており、考えが纏まり難い。
 確か教室で高橋さんと話をしていてーー。

「あぁ、良かった。気が付いたんですね」

 白衣の男性が入ってきた。あぁ、この声には覚えがある。

「柊先生?」

「無理して起きなくていいですよ。浅見さんは3日間、眠ったままだったのですから。親御さんにも連絡しましたので、じきにいらしてくれるでしょう」

 柊先生はわたしの手を取ると脈をみ、額同士で熱を測った。くすぐったさと急接近に身を捩ればクスっと笑われてしまい、医師の顔をして再度近寄られる。

「気分はどうです? 吐き気はしませんか?」

「ボーッとしてます。ここは病院ですよね? なんだかホテルみたい」

 わたしが寝かされている部屋は個室で、ソファーやテーブルなどの大型家具が設置してある。看護師さんが入ってこなければ病院と気付かない豪華な内装だ。
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