約束された結婚ーー鬼の花嫁は初恋相手と運命の相手に求婚される
「ふーん、高橋さんと連絡取ってるんだ」

「は? クラスメートなら普通だろ。そもそもお前が高橋の状況を知りたいって言うから教えたんだけど?」

「なら、わたしの番号を高橋さんに言えば良くない?」

「てかお前、携帯盗まれたままじゃないかよ! そもそも高橋と仲悪いくせに、やりとりするのか?」

 黙る、わたし。これは涼くんの言う通り、涼くんが正しい。でも涼くんが高橋さんと連絡を取り合う様を想像するとイライラしてしまう。

「んで俺が睨まれる? てか、そっちは四鬼千秋が転校してくるの聞いてないんだ?」

 四鬼さんが転校? 更なる混乱が生じる。

「どうして四鬼さんが葉月高校へ転校してくるの? 鬼月学園の生徒会長なんでしょ?」

「バカ、俺に聞くな、俺が聞いてる。あの四鬼千秋が転校してくる理由は何?」

「理由? 何言ってるの涼くん、わたしが知ってるわけないよ」

 話が噛み合わない。それもそのはず、わたしは高橋さんとの関係を尋ね、涼くんは四鬼さんとの関係を尋ねているのだ。

 四鬼さんの転校に関し、わたしは本当に何も知らない。だが、彼が学校にやってくるとなれば目的はあるのだろう。四鬼グループの御曹司が考えなしに公立高校へ転校するなど有り得ない。
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