声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
 あ、なるほど、愛称で呼んでくださるということですね!
 もちろんです!! そんな気持ちで大きく頷いて笑いました。

「ありがとう。私は一人っ子だから君みたいな可愛い妹ができて嬉しいんだ」

 紅茶を優雅に飲みながらそんな風に言ってくださって、とても光栄なことです。
 私もラルスさまのような素敵なお兄さまができて嬉しいです!

 ……私はその時ふと悪い考えが浮かびました。


『お兄さま』


 この響きがたまらなく嬉しくて呼びたくなりました。
 じっと私がラルスさまを見つめるもんだから、ラルスさまは「どうかした?」と尋ねてくださいます。
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