声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
「もしかして、文字が書けないのかい?」
私はゆっくりと申し訳なさそうに頷きました。
怒られてしまうのではないか。
そう思った私でしたが、ラルス様は私にずいっと身体を近づけると、優しく頭をなでてくださいました。
「そうか、大丈夫だよ。謝らないでほしい、君が悪いわけじゃない。君を怒ったりしないよ」
頭の上を何度も滑る優しくて大きな手は、とてもあたたかくて心地よいです。
時間というのはこんなにも穏やかなんでしょうか。
心も身体もあたたかくて、お日様にあたっているようなそんな感じがしました。
「これからは私は君の兄になる。血は繋がっていないけど、君が心を許してくれたら、家族のように思ってほしい。ゆっくりでいいから」
「(こく)」
私はそんなありがたいこと、いいのだろうかという思いで遠慮がちに一つ頷きました。
私の返事を聞いてラルス様はにこりと微笑んだ。
◇◆◇
私はゆっくりと申し訳なさそうに頷きました。
怒られてしまうのではないか。
そう思った私でしたが、ラルス様は私にずいっと身体を近づけると、優しく頭をなでてくださいました。
「そうか、大丈夫だよ。謝らないでほしい、君が悪いわけじゃない。君を怒ったりしないよ」
頭の上を何度も滑る優しくて大きな手は、とてもあたたかくて心地よいです。
時間というのはこんなにも穏やかなんでしょうか。
心も身体もあたたかくて、お日様にあたっているようなそんな感じがしました。
「これからは私は君の兄になる。血は繋がっていないけど、君が心を許してくれたら、家族のように思ってほしい。ゆっくりでいいから」
「(こく)」
私はそんなありがたいこと、いいのだろうかという思いで遠慮がちに一つ頷きました。
私の返事を聞いてラルス様はにこりと微笑んだ。
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