声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
 そんな風にご挨拶を交わしていた時、ノックをしてラルス様が入ってきました。

「挨拶は終わったかな? 今日は君の名前が知りたくて来たんだ」

 そう言ってラルス様は私に謎解きをされるように何度も質問をされます。

「名前は三文字?」
「(いえ、違います)」

 私は首を振って違うことを伝えます。

「じゃあ、四文字?」
「(いいえ)」

「五文字かな?」
(違います)」

「六文字?」
「(はい、そうです!)」

 私はとても大きく頷きます。

「そうか! 六文字か! じゃあ次は文字にいくね」

 こうして順番に一文字ずつ言葉をあてていってくださいます。
 そして15分ほどたったでしょうか。
 ついにその時がきました。
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