敏腕秘書による幼なじみ社長への寵愛
オープン記念パーティーからわずか三日後。
桜木社長から連絡があり、別荘に招かれた。
内装外装ともに打ちっぱなしのコンクリート造りで意匠性が高く、室内はオシャレなシーリングライトが淡く灯っている。
桜木社長の車でやって来たけれど、タクシーで最寄り駅まで行けば難なく帰れそうな場所だ。
「奥口から聞いたんだけど、珠子社長、中学時代は美術部だったんだって?」
「ええ、はあ」
桜木社長から問われ、私は曖昧にうなずく。
別荘の二階は美術品の展示室になっていて、有名なアーティストの作品が飾られている。
たしかに美術部だったけど、画家や美術史に詳しくない。
ただスケッチブックに母の真似をして洋服のデザインを描いていただけの私には、残念ながらここにある美術品の価値がわからなかった。
「珠子社長、ワインはいける口かな?」
鑑賞タイムが終わり一階に下りると、桜木社長がワインセラーを開けた。
「はい、あまり強くはないですけど……」
「そうなんだ」
ワインを一本を取り出し、手際よく開栓する桜木社長の口角がニッとつり上がった。
バーカウンターのような造りのリビングで、スツールに座り桜木社長と乾杯する。
ワイングラスを口もとで傾ける。渋みが強いけれど、果実の甘さも感じる高級そうな味がした。
「美味しいワインですね」
「そう? 気に入ってくれてよかった。珠子社長からこないだいただいたワインも後で開けようか?」
これまた高級そうなチーズを齧り、隣に座った桜木社長が私の顔を覗き込んだ。
「はあ……」
優介が用意してくれたワインだ。
今まではよく優介がうちで夕飯を作り、メニューに合うワインを用意してくれた。
飲みやすく、二日酔いにならない食べ合わせを考えてくれるから、外で飲むより安心だしなによりふたりなら楽しい。
けれどももう、そんな時間は過ごせない。
私は自ら手放したのだ。
「後でテイスティングしよう!」
鬱屈としている私に、桜木社長が無邪気に言う。
「はい……」
適当に返事をし、私もドライフルーツやクラッカーを齧りながらワインを消費する。
桜木社長はブルームに出店した飲食店の話をし始めた。
桜木社長から連絡があり、別荘に招かれた。
内装外装ともに打ちっぱなしのコンクリート造りで意匠性が高く、室内はオシャレなシーリングライトが淡く灯っている。
桜木社長の車でやって来たけれど、タクシーで最寄り駅まで行けば難なく帰れそうな場所だ。
「奥口から聞いたんだけど、珠子社長、中学時代は美術部だったんだって?」
「ええ、はあ」
桜木社長から問われ、私は曖昧にうなずく。
別荘の二階は美術品の展示室になっていて、有名なアーティストの作品が飾られている。
たしかに美術部だったけど、画家や美術史に詳しくない。
ただスケッチブックに母の真似をして洋服のデザインを描いていただけの私には、残念ながらここにある美術品の価値がわからなかった。
「珠子社長、ワインはいける口かな?」
鑑賞タイムが終わり一階に下りると、桜木社長がワインセラーを開けた。
「はい、あまり強くはないですけど……」
「そうなんだ」
ワインを一本を取り出し、手際よく開栓する桜木社長の口角がニッとつり上がった。
バーカウンターのような造りのリビングで、スツールに座り桜木社長と乾杯する。
ワイングラスを口もとで傾ける。渋みが強いけれど、果実の甘さも感じる高級そうな味がした。
「美味しいワインですね」
「そう? 気に入ってくれてよかった。珠子社長からこないだいただいたワインも後で開けようか?」
これまた高級そうなチーズを齧り、隣に座った桜木社長が私の顔を覗き込んだ。
「はあ……」
優介が用意してくれたワインだ。
今まではよく優介がうちで夕飯を作り、メニューに合うワインを用意してくれた。
飲みやすく、二日酔いにならない食べ合わせを考えてくれるから、外で飲むより安心だしなによりふたりなら楽しい。
けれどももう、そんな時間は過ごせない。
私は自ら手放したのだ。
「後でテイスティングしよう!」
鬱屈としている私に、桜木社長が無邪気に言う。
「はい……」
適当に返事をし、私もドライフルーツやクラッカーを齧りながらワインを消費する。
桜木社長はブルームに出店した飲食店の話をし始めた。