敏腕秘書による幼なじみ社長への寵愛
平岡さんも評価していた、私への手厚いサポートも、両親への恩なのかなって思っていたし。
だから悩んだり、突き放したりしたんだけど……。

考えて眉間にシワを寄せる私を、辟易とした顔の優介が覗き込む。

「勘弁してください。俺も男ですから、一晩中理性を酷使してカッコ悪いくらい必死に抑えてました」

歯がゆそうに言い、私が目をそらすのを許さないと言わんばかりの強い眼差しを浴びせてくる。

「それに、自由になっていいなんて言われて、我を見失うほどショックでした」

他人にどう思われようと、優介の気持ちが大切なのに……。
ショックなシーンを目撃して、我を見失ったのは私の方だった。

「私、バーの前で優介と奥口さんが抱き合っていたと思ったんだ。勘違いしてごめんね」

消え入りそうな声で言いながら、自然と頬がほころんだのを優介は見逃さなかった。

「珠子さんもショックでした?」

片眉をピクリとつり上げ、ちょっと意地悪な言い方をされたけれど、私は素直にこくりとうなずく。

「じゃあ、おあいこですね」

声を明るく弾ませて、優介はとても柔和に微笑んだ。

幼げに見える満足げな笑顔で、なんだかかわいい。
いつまでもぽうっと見惚れてしまいそうになってハッとする。

「あの後、女性と抱き合うのがいつものことだって言ったのかと思って、更にショックで!」

こそばゆくて早口になると、優介は穏やかにかぶりを振った。

「あれは、情報収集のために異性とお酒を飲むことを指したんです。そういった作業は俺がやりますから、珠子さんは自分の業務に集中してください」
「ありがとう……。私が社長としてやっていけるのは、優介のおかげだよ」

暗く翳っていた心の霧が晴れ、温かい光が差し込むように、晴れやかな気持ちになる。

「俺は俺の意思で、珠子さんのそばにいます。珠子さんが好きだから、離れたくないんです」

澄み切った美しい優介の瞳に、目を丸くする私が映る。時間差で、じんわりと涙がこみ上げてきた。
優しい表情でポンと頭をなでられて、胸がいっぱいになる。

近くで見つめ合うだけじゃなくて、もっと満たされたいという欲が出てきた。
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