敏腕秘書による幼なじみ社長への寵愛
「……ん……」

意識が飛び、一瞬目を瞑っていただけかと思ったのに、気づくと部屋の中はすっかり明るくなっている。
ベッドの上で、私の体は隣に眠る優介の腕と足にがっちりとホールドされていた。

昨夜の行為を思い出し、顔中がカッと熱くなる。
なんだかまだ下腹部に圧迫感があって、優介が私の中にいるみたいだった。

とたんに恥ずかしくなり、身をよじる。
けれども動けば動くほど、拘束は強くなるばかり。

「寝ぼけてる……?」

長い睫毛がとても綺麗な寝顔を見ながら、そうつぶやいたとき。

「まさか。この状況で眠れるわけないじゃないですか、もったいない」

優介はパチッと目を開け、頬をほころばせた。
朝から美麗な笑顔がとても眩しい。

「お、起きてた⁉」
「はい。どこに行くんですか?」
「えっと、服を……」
「ダメです、逃しません」

強引さにたじたじになる私を、鼻先同士がぶつかるくらいの至近距離で優介が見つめた。

その眼差しには、私を射止めて離さない強さと、包み込む優しさとの両方があって、胸がじんと温かくなる。

「逃げるとかじゃなくて。今日仕事だよ、起きなきゃ」
「珠子さん、今日の仕事終わりに婚姻届を提出しに行きましょう」
「こ、婚姻届⁉」
「一刻も早く契約したいです。珠子さん、俺のものになってくれるんですよね?」

熱望を込めた優介の切なげな眼差しは、胸にグッとこみ上げるものがあって言葉を失う。

それって、プロポーズ……?

金魚みたいに口をパクパクさせながら、私はなんとか動悸を落ち着かせた。

「さすがに急だよ、今日なんて……」
「いつならいいですか? リスケできそうな会合を調整しましょうか」

大真面目な顔で言われ、面食らった私は次にへなりと脱力する。
敏腕秘書には敵わないなと降参し、つい破顔した。

仕事もプライベートも、優介と一緒の時をすべて大切に心に留めておきたいな。
隣にいないなんてもう考えられないし、考えたくもない。

優介も同じ気持ちでいてくれていたらいいのにな……。

いとおしい笑顔を見つめ、この幸せがこれから先もずっと長く続くことを心から願った。

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