「入ってるわけないだろう。失礼な奴だ。」
「さっきまでのことがあったら疑いもするよ。」
私がムッとすると、妖怪狩りは申し訳なさそうな顔をした。
「すまない。」
「あははっ」
それがなぜか面白くて、私は笑った。そしたら、妖怪狩りも、
「何を笑っている…?変な奴だ。」
と言って笑った。なんだかすごく楽しかった。
「俺は朔太郎。」
突然妖怪狩りが名前を名乗った。
「私はサツキ。」
「知ってる。」
「なんで!?」
家族を、友達を、仲間をみんな殺されたのに、その仇と笑いあっているなんて。でも、なんだか楽しいな。
「私、信じてみるよ。朔太郎を。」
そう言っておにぎりを食べる私を、朔太郎がにやにやしながら見ていた。
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