失恋のカノン
「本日はご来場いただきまことにありがとうございます。先日の世界コンクールで入賞できたのも、応援してくださっていた皆さまのおかげだと思います。今回メイン都市以外でこちらのホールで演奏させていただくことも凄く楽しみにしてまいりました。実はここは僕の地元でして、当時、学校の放課後にピアノを弾いていたんですね。その時にずっと聞いてくれていた女の子がいたんですけど、僕がピアノをやめるっていったときにやめないでくれって言ってくれたんですね。なんだか、頭に離れなくて。それで死に物狂いでピアノ弾いていたらいつの間にかプロとして立てるようになったんです。彼女がいなかったらピアノは続けていなかった。今日来ているか分からないんですけど、もし来てくれたらいたら恩返しできるかなって思って一曲選ばさせていただきました。カノン」
彼がピアノと向き合ったときとんでもなく優しく鍵盤と触れあった。一音、一音の粒が大事に紡がれていく。私との過去をいつまでも大事にしてくれているのが嬉しくて涙が流れた。やっぱり、あなたのピアノはこの世で一番素敵だ。今も、昔も。
彼がピアノと向き合ったときとんでもなく優しく鍵盤と触れあった。一音、一音の粒が大事に紡がれていく。私との過去をいつまでも大事にしてくれているのが嬉しくて涙が流れた。やっぱり、あなたのピアノはこの世で一番素敵だ。今も、昔も。
