失恋のカノン
*
地元の市民ホールは国内でも屈指の音響設備があり、よく音楽やイベントなどが開催されることが多い。久々に帰ってきた地元は多少寂れたが、それでもお祭りが好きな人間性は残っており今日のイベントも完売御礼だったという。一か月前、ポストに入っていた封筒からチケットが二枚同封されていた。転送と押されているハガキだ。
その主催者の名前を見たとき胸が小さく弾けた。
地元の友人を誘うと「いいよ」と帰ってきた。
ホールに入ると、暫くしてから弾幕が上がった。中央に黒く輝くグランドピアノ。
私たちの席は一番中央で全てが見渡しやすい席だった。背筋がピンと伸びた。
隣で友人が「なんか緊張するね」って微笑んでいたが、私の額は汗がかいていた。
主催者であるピアニストの彼が舞台袖からタキシードで出てきて一礼した。あぁ、背が伸びたなとか、表情が柔らかくなったなとか、過去を思い出したりして胸からこみ上げてきた。
彼はマイクで当時より低い声で話し始めた。
どこか懐かしそうに目を細めながら。
地元の市民ホールは国内でも屈指の音響設備があり、よく音楽やイベントなどが開催されることが多い。久々に帰ってきた地元は多少寂れたが、それでもお祭りが好きな人間性は残っており今日のイベントも完売御礼だったという。一か月前、ポストに入っていた封筒からチケットが二枚同封されていた。転送と押されているハガキだ。
その主催者の名前を見たとき胸が小さく弾けた。
地元の友人を誘うと「いいよ」と帰ってきた。
ホールに入ると、暫くしてから弾幕が上がった。中央に黒く輝くグランドピアノ。
私たちの席は一番中央で全てが見渡しやすい席だった。背筋がピンと伸びた。
隣で友人が「なんか緊張するね」って微笑んでいたが、私の額は汗がかいていた。
主催者であるピアニストの彼が舞台袖からタキシードで出てきて一礼した。あぁ、背が伸びたなとか、表情が柔らかくなったなとか、過去を思い出したりして胸からこみ上げてきた。
彼はマイクで当時より低い声で話し始めた。
どこか懐かしそうに目を細めながら。