大食いパーティー、ガーデンにて奮闘する
「今日、あいつの指輪だけが戻ってきた……」
 チャーリーの苦し気に絞り出すような声にリリアナたちは息を呑む。
 
 ガーデンへの入場の際に着用が義務付けられている指輪は、3日経てば強制送還される機能がついている。指輪さえはめておけば、迷子になっても死体になっても3日経てば戻ってこられるわけだ。
 それが「指輪だけ」だった場合、その指輪をはめていた冒険者の体がなくなったことを意味している。
 魔物に食べられたり、跡形もなく溶かされたり焼かれたり……つまり、命を落としている可能性が極めて高い。

「酷なことを聞くようだが、指輪に手はついてなかったのか?」
 ハリスが険しい顔で問うと、チャーリーは弱弱しく首を横に振る。
「指輪だけだ」
 もしも指輪とともに指が戻ってきたのなら、指がちぎれただけで生きている望みもあるのだが、指輪だけとなるとやはり……。

 ジョセフはもう生きていないだろう――全員が同じことを考え、重々しい空気が漂った。
「せめて、冒険者カードだけでも探してやりたいんだ。それをあいつの家族に届けたい」
 チャーリーがうなだれている。
 ガーデン内で冒険者が行方不明になる話はたまに耳にする。命を落としていることもあれば、迷子になっていただけで生還することもあるし、中には家出や夜逃げのような形で自ら行方をくらます者もいる。
 ガーデンではどんなことが起きても自己責任だ。行方不明者が出た時に管理ギルドが捜索依頼を出すのは、規約違反に該当する可能性が高い場合のみ。
 今回のジョセフのようなケースで別のパーティーに捜査協力を依頼したい時は、こうやって個別に頭を下げて回らないといけない。

「わかった、協力しよう」
 ハリスが力強く頷いた。テオとリリアナもそれに続く。
「ありがとう! 助かるぜ」
 チャーリーは顔を上げ、泣き出しそうな顔で笑った。

 はぐれた時の状況やジョセフの容姿を詳しく聞き、さっそく明日、湿地帯エリアに行くことになった。

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