大食いパーティー、ガーデンにて奮闘する
 ハリス先生が魔法騎士だったなんて、初耳なんですけど!
 さらに驚いて固まるリリアナを置いてハリスが駆け出した。
 ハリスの炎の剣に斬りつけられた偽物は、文字通り霧散していく。
 霧の魔物がテオに擬態していたってことね?
 テオのいる結界の右側のヤツらをハリスが相手しているため、リリアナは左側を攻撃することにした。
 手のひらから火球をボンボン飛ばすと、おもしろいように偽物のテオたちが霧散する。

 結界内のテオの指示のおかげであっさり制圧することができた。
「霧の魔物か……。初めてだな」
 ハリスが首を傾げながら、ドロップ品と思われる丸くて小さく綿毛のような白い塊を回収して革袋の中に入れていく。
 リリアナもそれを手伝っていると、ようやくテオが結界から出てきた。
 その隣には、霧人間もいてこちらへ手を振っている。
「こんにちは!」
「――っ!?」
 いまの挨拶はテオの声ではない。
「しゃべれるんですか?」
 この霧人間は魔物ではないの……?
 リリアナは戸惑いながら聞き返す。

「おお! 私の声が聞こえるんですね!?」
「はい、聞こえますけど」
 正直に答えると、霧人間は手を叩いて喜んでいる。
「テオさんから、連れのリリアナさんは大食いでバフ効果が長いからきっとまだ会話できるだろうって聞いていたんです。大食いって素晴らしいですねっ! テオさんには少し前からもう私の声が届かなくなってしまったんですけどね、いやあ助かるなあ。大食い万歳ですねえ!」
 
 得意げにドヤ顔をするテオと、「大食い」を連呼して喜びを全身で表現している霧人間。
 なぜだろう。褒められているようだが、あまり嬉しくない。

「私はジョセフです。さっきの霧の魔物によって霧になってしまったんです」
「ジョセフ!? 先生! この人、自分がジョセフさんだって言ってるわ!」
 ハリスが無精髭をさすりながらじっと霧人間を見つめる。
「よかった、生きていたのか……いや、その状態を生きてるって言っていいのか?」
 ボソっと呟く言葉を聞いて、たしかにその通りだと思うリリアナだ。

 ジョセフ本人もどうすれば元の人間の姿に戻れるかわからないらしい。
 さっき倒した魔物の中にジョセフを霧にした張本人がいれば、討伐されたことで霧化の呪いが解けるかもしれないと期待していたようだが、彼は霧のままだ。
「もう戻れないのかもしれません……」
 ジョセフは、シュンと肩を落とす。

「いや、それよりもひとつだけ確認させてくれ」
 そう言うや否や、ハリスは再び剣先に炎をまとわせた。

 ――――!?
 驚くリリアナとテオが止める間もなく、ハリスがジョセフを炎の剣で斬りつけた。

 
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