優しく、ぎゅっと抱きしめて
「答えがわかるまで、限定30食プリンは私のものだから」
美味しそうなプリンを片手にそう言う美來。
「酷い!!!」
それ、私にとってすごく不利じゃない??
「はい、そういうことだから。健闘を祈る」
「美來のバカぁ…!」
そうとだけ言い残して、私は仕方なく中庭に走った。
なぜ中庭かというと、前に知賀くんから聞いた情報。
今もそうかわからないけど、とりあえず1番いそうなところから回るしかない。
少し入り組んだ中庭を見渡すと、それっぽい人を発見した。
どうやらベンチに寝転がっている模様。
「知賀くん…だよね?」
もし違ったらと思うと怖くて、恐る恐る声をかける。
「…ん、あぁ……月森?」
眠たそうに目を擦りながら起き上がる知賀くん。