優しく、ぎゅっと抱きしめて
寝ぼけているのか、声をかけても全く反応なし。
離れようと思っても、どうしてだか私の力じゃ適わない。
どうしよう……こんなところを見られたら、誤解どころか学年中の噂になっちゃうよ…!
「知賀くん、知賀くん…!」
なんとか起こそうと知賀くんをぽんぽん叩くと、ようやく目が覚めてきたのか腕の力が緩んできた。
「……つき、もり…?俺…──っ!?」
「あっ、知賀くん起きた…?」
完全に目が覚めた知賀くんは、自分がしていることを理解して一気に顔を赤く染めあげた。
それに釣られて私まで照れてしまう。
お互い顔を真っ赤にしたまま、見つめ合うこと数秒間。
恥ずかしいのと気まずいのとで、どうにかってしまいそう。
抱きしめられた腕の温もりが、私の体温まで上げていく。