マグ
「どうして?」兄は真顔で私を睨むように見つめていた。
私は内心、ちょっとびくびくしながらも、兄の質問にどうにかきちんと答えようとしていた。
兄からしてみれば私の答えは全く的を射ていなかったようだが。
「ご褒美だと言われても、何かもらった時とか好きな食べ物が出てきた時みたいに『やった!』っていう感じがしなかったから」
兄は眼を瞬かせた。
そして深く息を吐いて立ち上がり、私の手を強く引いて立ち上がらせた。