私は普通の恋がしたいだけ
「お前が知ってどうする?前みたいにボコボコにするか?」

「…」

「相手は組だぞ?お前1人で潰せるわけないだろ」

「でも!このまま黙っておけっていうの?」

「そうだ、お前は何も知らずにお嬢様しとけばいいの」

「…」

「わかった?」

そう言って、谷口さんは私の頭を撫でる

わかんないよ

なんで、大切な皆が血を流してるのに私は何もできないの?

部屋に戻されて、鍵をかけられた

スマホを見ると、龍治さんからメールが入ってた

[心配するな、大丈夫だから]

電話をかける

コール音がいつもより長く感じる

「もしもし?」

「龍治さん!」

「何?泣いてんの?」

「グスッ泣いてなんか、ない」

「そっかー、あんなにたくさん心配してくれてるみたいだったから、俺のこと恋しくて、泣いてるかと思ったわ」

冗談ぽく、言う龍治さん

いつもの龍治さんだ

「なんで、連絡してくれなかったの?」

「まぁ、お仕事?」

「どうせ女と遊んでたんでしょ」

本当は、そうじゃないこともわかってる

「ンフフ、そうだったらどうするの?」

「結婚しない、浮気する男は好きじゃない」

「俺のことは好きなの?」

「嫌いだよ
連絡しないで、心配かける男なんか」

嘘、本当は好きで好きでたまらない

会えなくても、こうやって電話してくれる龍治さんが大好き

「残念、俺は小雪のこと好きだよ」

「そっか、」

「若、水城組が…「ごめん、小雪仕事だ」」

水城組…

電話越しだけどはっきり聞こえた

さっき教えようとしてた人もみずなんとかっていいかけてた

「小雪?」

考えてて、龍治さんを無視してた

「ん?」

「明日は連絡出来るかわかんないけど、いい子にしてるんだよ?わかった?」

龍治さんの言ういい子には待ってられないかもしれない

「龍治さん、死んだら許さないからね?」

あえて、いい子に待ってられるの返事はしなかった

「うん、死なないよ
小雪と結婚したいし、まだキスも出来てないからね」

何言ってんの?この変態は

「そう、いってらっしゃい龍治さん」

「うん、いってきます」

そう言って、電話を切った

好きって不思議

さっきまで、不安に押し潰されそうだったのに声を聞いただけで幸せで一杯になる


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