私は普通の恋がしたいだけ
水城組
それよりも、水城組…

はじめて聞いた、ちょこっと調べてみる

全然、たいした組織ではなさそうなのになんで?

調べてもなんでこんなに小さい組織に手を焼いているのかわからない

百聞は一見にしかず

水城組に行ってみよー!

服を着替えて、部屋の銃弾を集めてみる

まぁ、これくらいあればいけるのでは?

ナイフを足に巻き付けて、反対側の足に銃を巻き付ける

靴は大切に取っておいた限定のスニーカー

勿体ない…

もうひとつの銃は鞄にいれて、部屋を出よう

どうやって出ようかしら

わんちゃん、鍵空いてたり?

残念なことにしっかり、閉まっていた

窓から外を覗いてみるけど、飛び降りれるかな?

2階から、飛び降りて死にましたは洒落になんない

まぁ、一か八か飛び降りるか

覚悟を決めて、飛び降りた

着地成功!

「さすが私だ!」

バレないように、門の方まで行く

さすがに抗争みたいなことが起きてると、門のところに人が立っている

これをすり抜けるのは、無理

塀を飛び越えるのも無理

高いし、格子鉄線がある

あれに刺さったら、尋常じゃなく痛いからやだ

あー、もう!

せっかく、飛び降りたのに


「パンっ!」

一発の銃声が鳴り響いた…

自分の銃が誤発泡したかと思ったがそうではない

門の方に目を向けると、2人いたはずの1人が血を流して倒れてる…

鳴り響く銃声、家の中から人がたくさん出てくる

しかし、同じくらい何故か門の前にも敵がいて

目の前がどんどん血で赤くなる

その瞬間、私の中で何かが切れた

「お嬢様!」

誰かがそう叫ぶけど、聞こえない

目の前の銃を発泡する男達の四股をどんどん撃ち抜いていく

返り血でどんどん血だらけになっていく

撃っても撃ってもうじゃうじゃ敵が沸いてくる

何なのこいつら

「小雪!」

あっ!谷口さんにバレた

一瞬、正気に戻り門の方に目をやると目の前には

ざっと50人は倒れている

「戻ってこい!」

谷口さんの声に私は家の方に戻る

私が入ると、門は閉められ皆、家に入り全部のシャッターを閉じられた

「お前はバカか!」

谷口さんは大激怒

「だって、」

「怪我は?」

「してないです…」

ドタバタと誰かが走ってくる

「小雪!!」

「おかあ「バカ!」」

抱き締められた

「死んだらどうするのよ!」

「死なないよ?」

何故か、確証はなくてもそう言い切れた

外では鳴り響く銃声

お母様は離れてくれたけど、私が血だらけなせいでお母様の服にまで血がついた

「着替えて、広間に来い」

谷口さんはそう言って、お母様と広間の方へ行った

部屋に戻って、窓の鍵を閉めた

シャッターが下ろされているので、真っ暗だ

電気をつけて、シャワーを浴びて着替えて

銃に弾を詰めて、広間に戻った

「お嬢様!」

痛っ、

どうやら、上田さんにビンタされたみたい

「何してるんですか!」

「ごめんなさい」

怒っているので、取り敢えず謝ってみる

「死んだらどうするんですか!」

お母様とおんなじこと言ってる

「だから、死なないよって」

「そんなのわかんないじゃないですか!」

確かに、そうだね

「まだ、やりたいことあるから死ねない
だから、何があっても死なないよ?」

龍治さんと結婚してないし、キスもしてない

だから、死ねない

龍治さんが死なない限りは私も生きる

「お腹空きましたか?」

「うん!」

そう言うと、上田さんは台所の方にいってしまった

広間には人がたくさんいた

「小雪」

谷口さんに呼ばれた

「何ですか?また、説教ですか?」

「さっきは暴走しなかったな、偉かったぞ」

そう言って、頭を撫でてきた

「誰だと思ってるんですか」

そう強く言い返して、廊下に出た

『プルル、プルル』

ポケットに入れていたスマホがなる

龍治さんからだ

「も「小雪!」」

焦ったように、龍治さんに呼び掛けられる

「何ですか?」

「大丈夫か?」

「何がですか?」

「無事なんだな?」

まぁ、今は無事だけど

ずっと外で鳴っている銃声

正直、時間の問題だろう

「今は無事ですよ」

「何だよ、今はって」

「聞こえません?この銃声」

「聞こえる」

「だから、今は」

「助けに行ってるから、耐えろ」

「さぁね、私は黙って守られてるお嬢様じゃないから龍治さんが早く来ないと誰かに撃たれちゃうかもね」

笑いながら、そう言うと

「さすが、俺の好きな女だ」

そう言われた

でも、しっかり聞くと龍治さんの電話越しにも銃声が聞こえる

嫌な、汗が出る

「龍治さん、いまどこ?」

「本家」

「銃声がする」

「そうだなー、俺も襲われちゃってる」

龍治さんは笑いながら、そう言うけど笑えない

「死なないで」

「死なないよ」

「…」

「泣くなよー」

涙が止まらない

わかってる、龍治さんは簡単に死なないって

でも、怖い

「それで、そっちの状態を教えて欲しいんだけど?」

龍治さんはそれが目的で電話をして来たみたい

「お父様はどっかで刺されて帰ってきて、今は寝てる
 誰も死んではないけど、いっぱい怪我人がいる
 それくらいかな」

「小雪は?」

唐突に自分のことを聞かれて、間抜けな声が出た

「へ?」

「お前はさっき電話終わって何してた?」

「…いい子でいた」

うん!

皆を守ったいい子だよ!

「右近さんから、連絡入ったぞ」

「え?」

右近め!

何を言いやがった

迂闊に口を滑らして、余計なことは言えない

「うーん、何ともないよ?」

「怪我もないか?」

「うん」

「助けに行くから、大人しく守られてろよ」

「無理~」

そう言って、電話を切った

廊下でボーとしていると、上田さんがおにぎりを作ってきてくれた

「どうぞ」

「ありがとうございます」

おにぎりを食べて、お父様のところへ行った

「右近!」

「なんですか?」

ニヤニヤとこいつ

「龍治さんに何を言ったんですか」

「お嬢様が、大人しく守られずに銃で反撃して、50人近くを撃ったことですかね?」

あー、もう最悪じゃん

「最悪だよー」

「自業自得です」

確かにそうだけども

「それで、どうするのよ?
 このままやられて、ドア蹴破られて、無抵抗で死ぬの?」

何もないかのように、過ごしているけど

絶賛、危機的状況なのだ

「何としてでも、組長を守る
 それくらいですかね?今できることは」

要するに、死ぬしかないらしい

「不満ですか?」

「別に、」

本当は不満しかない、私1人でも外に出してくれたら、全員撃ち殺す

ただ、門とシャッターが壊されるのを待つだけなんて嫌に決まってる

「じゃあ、お部屋に入ってお嬢様はもし、私が死んだら組長と姐さんを守ってくださいね」

そう言われ、お父様が眠る部屋に入れられた

「小雪」

小さく呟くお母様

側に行ってて震えるお母様の手を握る

「大丈夫ですよ」

「小雪は、強いわね」

「誰の娘だと思ってるんですか?」

本当は大丈夫じゃない

いつ、敵が入ってきてもおかしくない状況なのだから

「そうね、さすが私と樹さんの娘だわ」

「お母様、私普通になるのやめる」

「あら?」

突然の話に驚くお母様

「龍治さんと結婚できるなら、普通じゃなくてもいい」

「あら!いい感じなのね!」

いい感じかと言われたらそうではないのかもしれない

でも、龍治さんという存在が居なくなる恐怖を今日1日ですごく感じた

『ドカン』

聞いたことのない音が聞こえる

きっと、門を壊された音だろう

時間がない

お父様をドアから遠い部屋の隅に寝かせる

「お母様、もし私が死んだらお父様を守るのはお母様の役割ですからね」

そういい、お母様に銃を1つ渡した

お母様は自分が小雪とお父様を守るとなかなか聞かなかったが無理やり、銃を持たせて、部屋の中から鍵をかけさせた

部屋の前には、右近さんと谷口さんがいた

「出てくるなと言わなかったか?」

右近さんがそう言ってくる

そんなこと、言われた覚えがない

「言われてないですよ」

「自分の部屋に行け」

谷口さんはそう言ってくる

「いいですけど、脱走してシャッター破られる前に外に出ますけどいいですか?」

「はぁ、いつから言うことを聞かなくなったんだ」

ため息をつかれた

なによ、

「他の皆は?」

「隠した」

「どこに?」

なに?隠したって

「地下だ」

あー、物置部屋ね

地下という名の埃臭くて狭い場所

小さい頃はかくれんぼでよくあそこに隠れてた

広間の押し入れにある隠し扉からしか入れない

「お前も、隠れるか?昔みたいに」

「いやよ、あんな埃臭いところ」

死ぬ前の会話がこんなことだなんて笑えてくる

「谷口さん、右近さん、ありがとね」

「あぁ、」

2人はそう言った

「わたし、玄関の方行ってもいい?」

「最後のお願いか?」

笑いながら、言う谷口さん

「最後じゃないよ、死なないから」

「そうだな」

そう言い、頭を撫でてくれた

きっといいよと言うことだろう

「お父様とお母様、守れなかったら呪うからね」

冗談ぽくそう言って、玄関まで走った

ガシャンガシャンとシャッターを蹴る音がする

銃声も何発かするが、あいにくうちのシャッターは防弾だ

すると、だんだんと銃声が激しくなってくる

シャッターを蹴る音もなくなり、静かになった

なに?

『プルル、プルル』

スマホが鳴り、画面を見ると

龍治さん

「もしもし」

「シャッター開けろ、助けに来たぞ」

「…うん、」

急いで、シャッターを開けると

「龍治さん、」

スマホが手から落ちて、龍治さんの匂いと温もりに包まれる

「小雪、助けに来たぞ」

「うん、ありがとう」

涙が止まらない

「泣くなよー」

そう言いながら、初めて会ったときみたいに背中を擦ってくれる龍治さんの大きくて温かい手















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