愛しのディアンヌ
「お願いします。すぐに彼に面会させて下さいよ!」

「いえいえ。時間外の面会は禁止されていますから無理です」

「少しだけ顔を見るのも駄目なんですか?」

 私はカウンターにしがみついて食い下がっていた。すると、彼は、声を落としながらそっと伝えてくれた。

「ここだけの話ですけど、看守に賄賂を渡せばコッソリと会えますよ。どうされますか?」

 そんなの、ここで考えるまでもない。

「払いますよ! お幾らですか?」

 指四本。それは、なんとパン四斤分の値段だった。しかし、私は払うことにしたのだった。




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