あなたの傷痕にキスを〜有能なホテル支配人は彼女とベビーを囲い込む〜
二度目の初夜
【おかえりやす】に関する譲渡手続きが完了したのは 奇しくもハロウィンの日。

 職場復帰した里穂がホテル内で実習に勤しんでいると、メッセージが届いた。

【ホテルエスタークよりプレゼントです
十月三十一日から十一月一日の一泊二日を無料でご招待 
お客様の専属スタッフがご用を承ります
ラグジュアリーな休日をお過ごしください】

「これって!」

 人の気配のないところに移動する。ドキドキしながら里穂は慎吾に電話をかけた。

『里穂、メッセージ読んだか』
「うん」
『ようやく里穂の電話番号の番になったよ』

 携帯電話から届く甘い声は、まるで耳元でささやかれているようで頬が火照ってくる。


 二人が出会ったハロウィンの日、わざわざ泊まった部屋に里穂を呼ぶ、その意味。
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