たとえ夢幻(むげん)の恋だとしても
「あー間に合ったぁ。」
チャイムがなる5分前。
いつもより家を出るのが遅かったのになぜかいつもより早く学校に着いた。
「あ、そういえば!」
雪が何かを思い出したように話し出す。
「2-Cに転校生来るらしいよ!」
あぁ、そんなこともあったなぁ。
1学期の終業式のときが学年集会で学年担任の先生が言ってたのを思い出した。
「どんな子かな!楽しみだね!」
すでに仲良くなる気満々の雪。
私はあんまり興味がない話題だけど雪が可愛くて…
「そうだね…!」
「…日菜、今別のこと考えてたでしょ。」
「あ、バレた?雪がかわいいなぁって思ってた。」
すこし冗談混じりで言うとほっぺたをピンクに染めて
「もうっ!変なこと言わないでよ。恥ずかしいでしょ!」
頬に空気を入れてリスみたいに膨らませている雪。
「雪、日菜ちゃん、おはよう!」
クラスメイトの紗奈ちゃんが来て挨拶を交わした。
紗奈ちゃんは高校1年生の時から同じクラスですぐに仲良くなれた。
「あ、そうだ」
紗奈ちゃんが口を開く。
「今日はC組に転校生の子が来るんだよね。」
さっき雪と話した話題を紗奈ちゃんも口にする。
みんな転校生が来るの楽しみなんだな…
「そう!そうなんだよね!」
紗奈ちゃんの言葉に目をキラキラさせながら答える。
私は苦笑いをして
「2人ともすっごく楽しそうだね。」
「「当たり前だよ!」」
2人して同じことを言う姿をみて思わず笑ってしまった。