"ぶっきらぼうで笑わない女神"の恋愛事情
彼女の身体が恭平の前から消えた。消えたと思った彼女の身体は床に倒され、バッグの中身が散乱していた。
恭平のすぐ側には雪乃が能面のような顔で彼女を見下ろしている。
「何をするんだ!」
「お兄さまに近づかないで!」
恭平の全身から血の気が引いた。まさかこんなところまで来ていたとは。
それよりも彼女だ。怪我はしていないだろうか。恭平は手を差し出した。だが無情にも振り払われてしまう。
振り払われた反動で落ちていた免許証が視界に入り、飛び込んできた氏名【葛葉真琴】を瞬時に記憶した。
「だから人間は嫌い」
抑揚のないその言葉は、彼女と恭平のかろうじて繋がっていた細い糸を躊躇うことなくプツッと切ってしまうような無機質なものだった。
散乱したバッグの中身を集める彼女の手が震えている。ストラップについていたオセオンの腕は折れてしまっていた。
「ファンの人たちにとって、オセオンのグッズは、ただの物ではないんだよ。命があるものと同じくらい大切なんだ」
洸平がよく言っていた。
取り返しのつかない現状に絶望した。
力なく立ち去る彼女の後ろ姿をただ見ていることしかできない自分の無力さに怒りが湧いた。
雪乃に視線を戻すと、宝来が雪乃の腕を掴み制止している。恭平は雪乃を見下ろし無慈悲な眼差しを向けた。
恭平のすぐ側には雪乃が能面のような顔で彼女を見下ろしている。
「何をするんだ!」
「お兄さまに近づかないで!」
恭平の全身から血の気が引いた。まさかこんなところまで来ていたとは。
それよりも彼女だ。怪我はしていないだろうか。恭平は手を差し出した。だが無情にも振り払われてしまう。
振り払われた反動で落ちていた免許証が視界に入り、飛び込んできた氏名【葛葉真琴】を瞬時に記憶した。
「だから人間は嫌い」
抑揚のないその言葉は、彼女と恭平のかろうじて繋がっていた細い糸を躊躇うことなくプツッと切ってしまうような無機質なものだった。
散乱したバッグの中身を集める彼女の手が震えている。ストラップについていたオセオンの腕は折れてしまっていた。
「ファンの人たちにとって、オセオンのグッズは、ただの物ではないんだよ。命があるものと同じくらい大切なんだ」
洸平がよく言っていた。
取り返しのつかない現状に絶望した。
力なく立ち去る彼女の後ろ姿をただ見ていることしかできない自分の無力さに怒りが湧いた。
雪乃に視線を戻すと、宝来が雪乃の腕を掴み制止している。恭平は雪乃を見下ろし無慈悲な眼差しを向けた。