"ぶっきらぼうで笑わない女神"の恋愛事情
部屋に戻ると、すぐさま恭平が後ろから抱きしめる。

「真琴、すぐにでも引っ越そう。四六時中傍にいて守ってやりたいが、そうもいかない。なるべく俺の目の届くところにいて欲しい」

恭平は真琴を正面に見据え、真剣な眼差しを向けた。

「それから、真琴の実家にも挨拶に行きたいと思っている。お母さんには了承を得ておきたい。いいか?」

真琴は頷いた。

「急だが、今度の土曜はどうだろう。週末で店が忙しいとことは承知しているが……」

「母に今から訊いてみましょうか?」

「すまないな」

大学進学を機に一人暮らしを始め、用がある時にしか連絡することがなく、直子とは久しく話をしていない。

恭平は、洸平から実家のことについて何も聞かされていなかったようで、結ばれた日に母親のことを訊かれた。
母親の名は直子で、小料理屋を営んでいるということは話したのだが、真琴にとって、直子が反面教師であることや、育ってきた環境については言葉を濁してしまった。そんな真琴の心情を察した恭平は深く訊いてくることはなかった。それでも、やはり母親には挨拶をしておきたいという恭平の誠実さが胸を打つ。

真琴はソファーに腰掛け、直子に電話をかけた。この時間は仕込みや開店の準備をしている筈だ。数回の呼び出し音の後に繋がった。
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