"ぶっきらぼうで笑わない女神"の恋愛事情
三人で昼食をとり、片づけを終え、帰り支度をする。

「恭平さん、これ、小百合さんに渡していただけるかしら。貴方のお母さまが好きな山菜おこわです」

風呂敷に包まれた折が紙袋に収められていた。

「ありがとうございます、いただきます」

「じゃあ、行くね」

「気をつけて」

笑顔で見送る直子に、初めて笑顔で手を振り返した。直子の愛情が身に染みる。
その一方で、直子をひとり置いて東京に戻ることには不安があった。

「私、とんでもないことをしてしまったわ。プライドが高い彼女だから、きっと黙ってはいないでしょう。私に向けられる憎悪ならいくら向けてもらっても構わないけど、それがあなたたちに向けられてしまったらと思うと……」

不安げに吐露した直子を思い出していた。


駅に向かい、ふたりで歩いていると、恭平が突然立ち止まる。

「恭平さん?」

「真琴、申し訳ないんだが、この足で、俺の両親にも会ってくれないか?」

「え⁉︎」

「もうこれ以上、真琴にも、お母さんにも、嫌な思いはさせたくない。そのためには、一刻も早く君との関係を揺るがないものにしておきたいんだ」

「わかりました」

「真琴、俺の手を離すなよ」

「はい。恭平さんも、私の手を離さないでください」

「離すもんか。やっと掴んだんだ。離すわけがないだろう」

直子から受け取った愛情の詰まったノートを大事に抱え、恭平と新幹線に乗り込んだ。

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