"ぶっきらぼうで笑わない女神"の恋愛事情
東京に戻ると、タクシーでそのまま高御堂家へと向かった。

静けさに包まれた高級住宅地に佇む恭平の実家は、塀が高く、中の様子は全く窺えない。セキュリティが重視されているような重厚感のある外観だ。
洸平が、実家の方が広いと言っていたことを思い出し、納得した。

恭平に連れられ中へ入ると、お手伝いさんだろうか、年配の女性が「お帰りなさいませ」と柔らかい表情を向けた。

「スエさんだ。俺が生まれる前からこの家で働いてくれている」

「初めまして、葛葉と申します」

「まぁ、わたくしのような者に……さあ、こちらをお履きになってくださいませ」

光沢のあるスリッパを恭平と真琴の前に並べてくれた。

すると「いらっしゃい!」と弾んだ声と共に洸平が姿を見せた。

「待ってたよ」

「お久しぶりです、洸平さん」

「うん、よく来たね、さっ、上がって」

「おい、洸平、俺もいるんだが」

「あ、兄さん、お帰り」

「なんだよそのそっけなさ」

「お邪魔いたします」と真琴はスエに一礼した。

恭平と洸平に連れられ奥へと進む。開け放たれた部屋の向こうには広々としたリビングが広がっていた。
コの字型をしたソファーには、いつも遠くから拝見していた姿が、笑顔をこちらに向け腰掛けている。けれど、少し様子が違う。スーツ姿ではなく、部屋着だからだろうか。いや、それでも何か違うような気がする。会社で目にする威厳ある社長の姿とはかけ離れすぎではなかろうか。そういえば、ここ最近、社内で見かけることがなかったような……

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