"ぶっきらぼうで笑わない女神"の恋愛事情
気持ちを落ち着かせ、入場に必要なQRコードを表示させるためスマホを取り出した。
フロアー全体がザワザワしている。柱の影からホール入口の方に目を向けると、缶バッジで埋め尽くされた痛バッグを持った人や、オセオンの衣装を着た人、マスコットを大量に抱えた人など、オセオンへの想いをそれぞれの形にして訪れたファンが次々に入場していた。
真琴もスマホを手に一歩踏み出したその時、ドスっと誰かとぶつかった。
その反動で手からスマホが滑り落ちる。
「すみません!」
ぶつかった相手に慌てて謝罪しながら顔を上げたその瞬間、消えたはずの緊迫感が再度真琴を襲った。
「あ……」
先ほどエレベーターで一緒だったチャコールグレーのスーツに身を包んだ男性が、真琴を見下ろしている。氷のように冷たい目に鳥肌が立つ。
「謝ったということは、君に非があると受け取っていいんだな」
耳元で放たれた地を這うような低い声と、耳に吹きかかる温かい息が真琴を硬直させた。
「……」
「償ってもらおうか」
「え…」
「聞こえなかったか?償ってもらおうかと言ったんだ」
「償う?」
「ああ、そうだ」
理不尽な要求に真琴は黙っていられなかった。
氷のような目をキッと睨み返す。
「意味がわかりません。ぶつかったのはお互いの不注意から起きたアクシデントだと思います。なので私は謝りました。償わなければならない筋などございません。失礼します」
男性の返事を聞かないまま震える足を踏み出した。
「待て」
呼び止められたが振り向かずイベントホールへ向かう。受付まで来たところでスマホを落とした事を思い出した。
あっ!と振り返ると、男性が真琴のスマホを手に、こちらに来いと言わんばかりの表情で見つめている。
真琴は一つ長い溜息をつき、男性の元へ向かった。
フロアー全体がザワザワしている。柱の影からホール入口の方に目を向けると、缶バッジで埋め尽くされた痛バッグを持った人や、オセオンの衣装を着た人、マスコットを大量に抱えた人など、オセオンへの想いをそれぞれの形にして訪れたファンが次々に入場していた。
真琴もスマホを手に一歩踏み出したその時、ドスっと誰かとぶつかった。
その反動で手からスマホが滑り落ちる。
「すみません!」
ぶつかった相手に慌てて謝罪しながら顔を上げたその瞬間、消えたはずの緊迫感が再度真琴を襲った。
「あ……」
先ほどエレベーターで一緒だったチャコールグレーのスーツに身を包んだ男性が、真琴を見下ろしている。氷のように冷たい目に鳥肌が立つ。
「謝ったということは、君に非があると受け取っていいんだな」
耳元で放たれた地を這うような低い声と、耳に吹きかかる温かい息が真琴を硬直させた。
「……」
「償ってもらおうか」
「え…」
「聞こえなかったか?償ってもらおうかと言ったんだ」
「償う?」
「ああ、そうだ」
理不尽な要求に真琴は黙っていられなかった。
氷のような目をキッと睨み返す。
「意味がわかりません。ぶつかったのはお互いの不注意から起きたアクシデントだと思います。なので私は謝りました。償わなければならない筋などございません。失礼します」
男性の返事を聞かないまま震える足を踏み出した。
「待て」
呼び止められたが振り向かずイベントホールへ向かう。受付まで来たところでスマホを落とした事を思い出した。
あっ!と振り返ると、男性が真琴のスマホを手に、こちらに来いと言わんばかりの表情で見つめている。
真琴は一つ長い溜息をつき、男性の元へ向かった。