"ぶっきらぼうで笑わない女神"の恋愛事情
安定期に入り、つわりはほぼなくなった。
体力も戻り、仕事に復帰した。
ウォンバットのような柔和な笑みを浮かべた課長はもういない。挨拶もできないまま、退職を迎えてしまった。と思っていたら、定年制が改定され、60歳だった定年年齢が65歳に引き上げられており、入院する前の光景となんら変わっていなかった。

迷惑をかけてしまった謝罪と、不在中のサポートのお礼を兼ねた挨拶を一通り終えると、席を外していた主任が真琴の顔を見つけるや否や、真琴に向って歩いてくる。
学生時代、バレーボールの選手だった彼女は、高身長で脚も長く、歩幅が広いため、あっと合間に真琴の横にやって来た。
真琴も慌てて立ち上がる。

「お帰りなさい。顔色もいいみたいね」

「ただいま戻りました。ご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ありませんでした」

「立たなくていいから、ほら、座って」

「失礼します」

真琴はゆっくり腰を下ろした。

「葛葉さん、貴女がとても優秀で、責任感が強いことは知っているけれども、もっと頼って欲しいわ。ここには頼れる仲間がたくさんいるでしょ」

「申し訳ありません」

「謝ることではないのよ。ただ、ひとりで抱え込まないで欲しいだけ」

「はい」

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