"ぶっきらぼうで笑わない女神"の恋愛事情
確かに、自宅や店には誰も連れてきたことがない。連れてくるという行為そのものが、人間を受け入れられない真琴にとっては不要なものだからだ。

「別にいいでしょ、連れてくる理由がないんだから」

直子は軽く溜息をついた。諦めにも似た溜息だ。

「見かけない制服だけど、ハンサム君は修学旅行生なの?」

「はい」

「他の学生さんたちはどうしたの?」

「はぐれました」

(え⁉︎迷子⁉︎)口から飛び出そうになったが、真琴はかろうじて飲み込んだ。
ここは所謂名所といわれる場所が多くあり、班別での視察や、自由行動中の修学旅行生をよく見かける。大通りはすぐそこだし、駅も近い。しかも、目印になる建物もたくさんあるので迷子になる要素が見当たらないのだ。

「僕、極度の方向音痴なんです。街並みに見惚れながら歩いていたら、どこにいるのかわからなくなりました」

「早く戻らなきゃみんな心配してるんじゃない?」

「自由行動中なので、誰も気づいてないかもしれません。時間内にホテルに戻ればいいので」

「あらまぁ…… 真琴、ハンサム君の体調が戻ったらホテルまで送ってってあげなさい」

「うん、わかった」

「具合が悪くなることはよくあるの?」

「……僕、パニック障害なんです」

確か、突然発作が起こる病気だと以前聞いたことがある。さっきの症状がそうだったのかと、真琴は理解した。
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