"ぶっきらぼうで笑わない女神"の恋愛事情
「もう、だいぶ落ちついたので戻ります」

「本当に大丈夫?」

「はい」

彼は椅子から立ち上がり「お世話になりました」と深く頭を下げた。

「じゃあ、送ってくる。先輩、ホテルはどこですか?」

高校生のようだし、中学生の自分より確実に年上だろうと、真琴は先輩と呼ぶことにした。

「え、先輩?」

「はい、先輩は高校生ですよね」

「うん」

「私、中3なので」

「そうなの?てっきり同学年かと思ってた」

確かに、真琴の顔には幼さがない。しかも、中学生とは思えないほどの声質に言動だ。私服姿は成人女性とそう大差ない。制服を着ている真琴を見れば、同級生と勘違いするのも致し方ない事ではある。

「そうなのよ、この子、これでもまだ中学生なの。驚いちゃうでしょ」

「は、はい、ちょっと……」

「じゃあ行きましょうか」

「う、うん」

さっさと店を出る真琴のあとを、彼は追いかけるように着いてきた。

「真琴!もっとゆっくり歩いてあげなさい!まだ本調子じゃないでしょうに」

後方から直子の声が飛んでくる。

真琴は一旦立ち止まり、彼が横に並ぶのを確認すると、今度はゆっくりと歩き始めた。
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