"ぶっきらぼうで笑わない女神"の恋愛事情
指定された21時が刻一刻と迫ってくる。
非常に憂鬱だ。一度部屋に戻ってオセオンからの大切なプレゼントを置いてこようと考えた。
この薔薇まで奪われたらたまったものではない。
部屋に戻った真琴は、財布やスマホ、運転免許証といった必要最低限のものだけをバッグに収め、バーラウンジへ向かった。
いかにも大人の雰囲気といった入口を前に、戦闘モード突入だ。大きく息を吐き、店に足を踏み入れた。
「いらっしゃいませ、ご予約はされていらっしゃいますか?」
黒服の男性の問いに「いいえ」と答えたものの、待ち合わせだと言うのも納得いかない。
なんと言えば良いのか躊躇していると、エレベーターの中にいたもう一人、インテリ眼鏡の男性が目の前に現れた。彼の姿を確認した黒服の男性は「失礼いたします」と会釈をし、離れて行く。
「お待ちしておりました。さあ、こちらへどうぞ」
彼に促され奥へと進む。ガラス張りの窓の向こうから、港に広がる灯りが飛び込んできた。JAZZの生演奏が余計に夜景を引き立たせる。まるで別世界に連れてこられたかのようだ。
「専務、いらっしゃいました」
専務⁉︎
専務といえば、うちにも新しい専務が就任するんだったなと、真琴は昨日の課長との会話を思い出していた。社長の息子でかなりイケメンらしいと女子社員が騒いでいたが、全く持って興味もなく聞き流しているだけだった。
けれど……あの人のような氷冷の目をした人だけは勘弁してほしい。視線の先にいる男性を窺う。
ハーバービューのテーブル席に腰掛け、ワイングラスを手にしていた彼がこちらに視線を移す。琥珀色の瞳は真琴を捉え、片方の口角を上げた。
非常に憂鬱だ。一度部屋に戻ってオセオンからの大切なプレゼントを置いてこようと考えた。
この薔薇まで奪われたらたまったものではない。
部屋に戻った真琴は、財布やスマホ、運転免許証といった必要最低限のものだけをバッグに収め、バーラウンジへ向かった。
いかにも大人の雰囲気といった入口を前に、戦闘モード突入だ。大きく息を吐き、店に足を踏み入れた。
「いらっしゃいませ、ご予約はされていらっしゃいますか?」
黒服の男性の問いに「いいえ」と答えたものの、待ち合わせだと言うのも納得いかない。
なんと言えば良いのか躊躇していると、エレベーターの中にいたもう一人、インテリ眼鏡の男性が目の前に現れた。彼の姿を確認した黒服の男性は「失礼いたします」と会釈をし、離れて行く。
「お待ちしておりました。さあ、こちらへどうぞ」
彼に促され奥へと進む。ガラス張りの窓の向こうから、港に広がる灯りが飛び込んできた。JAZZの生演奏が余計に夜景を引き立たせる。まるで別世界に連れてこられたかのようだ。
「専務、いらっしゃいました」
専務⁉︎
専務といえば、うちにも新しい専務が就任するんだったなと、真琴は昨日の課長との会話を思い出していた。社長の息子でかなりイケメンらしいと女子社員が騒いでいたが、全く持って興味もなく聞き流しているだけだった。
けれど……あの人のような氷冷の目をした人だけは勘弁してほしい。視線の先にいる男性を窺う。
ハーバービューのテーブル席に腰掛け、ワイングラスを手にしていた彼がこちらに視線を移す。琥珀色の瞳は真琴を捉え、片方の口角を上げた。