"ぶっきらぼうで笑わない女神"の恋愛事情
「あのぉ、部屋に帰りたいです」

「本当に正直な女性だ」

「……」

「今日は不快な思いをさせて申し訳なかった」

あれ!この人、ちゃんと謝れるんだなと、僅かだが、真琴の気がふっと緩んだ。

「それに、余韻に浸りたいところを邪魔して悪かった」

「え⁉︎」

「さて、それを飲み終えたら出るとするか。だが、ゆっくり飲んでくれて構わないんだぞ。なんなら、別のカクテルを頼んでもいいが」

「遠慮しておきます」

「だろうな」

「私は戻りますが、どうぞごゆっくり、ここから見える夜景とお酒を堪能されてください」

「酷いことを言うな」

遠い目をする彼は、ゆっくりとワイングラスに口をつける。グラスを持つ手は指が長く、美しい。色気がダダ漏れだ。確かに、モテ過ぎて大変だろうなと、同情した。

「さっ、戻るか」

彼はスタッフに目配せし、呼び寄せた。

「これで」

そう言ってカードを手渡す。
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