"ぶっきらぼうで笑わない女神"の恋愛事情
そんなことを突然言われても無理に決まっている。彼に想いを寄せる女性が多いことは、社内にいればよくわかる。きっと誰が恋人でも、その人には憎悪が向けられ、人間の生々しい感情が否応なくぶつけられるのだ。真琴が人間を嫌う理由そのもの。
自ら身を投じるなど、愚かなことはしたくない。

「とりあえず、入ろうか」

「はい」

彼が扉にカードキーをかざすと、カチッと音がした。扉を押さえ、真琴を先に中へ通す。
通路に置かれた高級そうな調度品の数々が格式の高さを窺わせ、真琴は自分の場違いに恐縮した。

通路の先には、間接照明の引き立つ広々とした客席が広がっている。
いつものことなのか、金曜日だからなのか満席だ。

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