"ぶっきらぼうで笑わない女神"の恋愛事情
「俺の曽祖父がボルドー地方を訪れた時、ある夫婦の生産者に出会った。彼らの作るワインは3級に格付けされていて、曽祖父は彼らのワインを飲んだ時、それまで味わったことのない衝撃を受けたそうだ。一口で惚れ込んでしまった。
だが、所有者が代わり、恐慌や戦争によってその所有者が没落してしまった。醸造環境は悪化し、曽祖父の惚れたワインは質を落とした。
どうしてもあの時のワインを取り戻したいと思った曽祖父は、自らが所有者になることを決め、買収した。
畑や醸造所を一新し、ワイン再生に尽力していた専門家の協力を仰ぎながら、曽祖父の惚れたワインは息を吹き返した。曽祖父が病に倒れたあとは祖父が受け継ぎ、そしてそのバトンは俺に渡った。俺は、このワインを絶やすことなく人々に味わってもらいたいと思っている。いや、それが俺の使命だ」

愛おしそうに目を細め、ワイングラスを見つめた。

こんな優しい表情をするんだなと、真琴はドキッとした。
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