"ぶっきらぼうで笑わない女神"の恋愛事情
全然大丈夫じゃないではないか!
なんという大失態だ。穴があったら入りたいとはまさにこういうことを言うのか。

「兄さんもうすぐ帰ってくると思うけど、朝ごはん食べる?」

「え⁉︎ いえいえいえいえ、とんでもございません!」慌てて手を振る。

「お、お兄さまはどちらに?」

「ジムだよ。ここの地下にあるんだけど、トレーニングしてる」

「そ、そうなんだ…」

大失態のこの状況、いったいどうすれば良いのか考えあぐねていると、玄関のドアが開く音がした。
洸平がそちらに気を取られているうちに、革張りの黒いソファーの後ろに身を隠す。

「あ、兄さんお帰り。真琴さん、目、覚めたよ」

「ん?」

「ほら、あそ、あれ?さっきまでそこにいたんだけど……」

真琴は身を縮め目を閉じた。スリッパの音が近づいてきたかと思うと、真琴の正面でピタリと止まった。恐る恐る目を開ける。

琥珀色の瞳とバッチリ目が合った。

「あ、あのぉ……私……」

「頭、痛くないか?」

起きた時の頭の重さは、もう既に吹っ飛んでしまっていたので、うんと頷いた。恭平のあの大な手が優しく真琴の頭を撫でる。
トレーニングウェア姿の恭平は、スーツ姿とは違った色気を醸し出していて、大失態で既に跳ね上がっていた真琴の心拍数を、更に引き上げた。
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