「好き」って言ってよ!
「相馬青葉の婚約者になって早15年、本当に長かった!

先代の遺言だか何だか知らないけれど、勝手に決められて本当に嫌だった!

10歳の誕生日プレゼントが婚約者だなんて、こんな嬉しくない誕生日プレゼントがあるか!

生まれてこの方25年、本当に苦しくて仕方がなかった!」

周りの目を気にしていないと言うように、奈帆はこれまでの思いを全て吐き出すように叫んだ。

「婚約破棄を本当に望んでた!

と言うか、最初から好きな人ができたんだったらとっとと婚約破棄してくれよって言う話だけど…これからの私は自由の身だからもう何も言わないわ!」

奈帆は父親と同じく呆然とした様子で自分を見ている彼らの方に視線を向けると、着物を着ていることも忘れて駆け寄った。
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