猫はこたつで丸くなる。 私は君で甘くなる。

 一緒に居る時くらい怒りたくないのに、私は自分のことばっかりで自己中で嫌になる。トウヤが久しぶりに会いに来てくれたと思えば、トウヤの膝の上にはずっとマロ。

 マロが嫌いなわけじゃないよ。可愛い可愛い妹みたいなものだもん。でも、それにしたってトウヤはひどくない? いつぶりに会ったと思ってるんだか。

「両方だよー」

 悪気もなくケラケラと笑いながら、あぐらをかいて腕を広げる。

「何その手」
「千歳も膝においでよ、マロみたいに可愛がってあげるよ」
「いらない、その優しさ」

 こういう時までヘラヘラとして、そういう表情が私をイラつかせるってわかってない。なんで私がこんなことを言うのかも、わかってない。

「優しさじゃなくて、俺が来て欲しいだけだけど?」

 さらりとそう言うことを言ってのける神経も、嫌いだ。

 私は久しぶりに会えると思って、一週間前からこの日を楽しみにしてたのに。毎日のようにスマホのスケジュールを見て、「あと何日だね」ってトウヤとメッセージを送り合って。トウヤからの連絡を何回も見返してた。

 一人で盛り上がって本当にバカみたい。

 で、こんなに脳内でギャンギャン吠えてるくせに、トウヤの腕の中に収まってる自分も嫌い。
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