猫はこたつで丸くなる。 私は君で甘くなる。

 トウヤの膝は決して座り心地が良いとは言えず、ゴツゴツとしてる。鍛え上げられた太ももは安定するとはいえ、お尻に痛い。

 バックハグの状態になって、トウヤの吐息が首から肩に吹きかかる。素直に座ったは良いけど、だいぶ恥ずかしいことになってない?

「ただいま、千歳」
「おかえり」

 こういう時に私が弱るような言葉を言うのは無意識なのだろう。トウヤの髪の毛が首に触れて、肩にトウヤの唇が触れそう。

「千歳の匂いだぁ」
「なによそれ、変態くさい」
「早く結婚して千歳も、マロも、家族にしたいんだよ俺は」

 耳元でそんなことを言うからカッとおでこまで熱くなる。その割にはマロばかり構ってましたけど。

「やきもち焼く、千歳が可愛いからだよ。マロは千歳のうちの子だから、結婚したら俺のうちの子にもなるんだよ」
「単純に猫好きなくせに」
「それもあるけどね」

 私の肩元でくすくすと笑うから、くすぐったくて身を捩る。

「俺だって千歳にずっと会いたかったよ」
「もう良いって」
「知ってるから?」
「そうよ」
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