地味系男子が本気を出したら。


最初は理解ができなかった咲玖と九竜の関係も、今では羨ましいとすら思える。

だって、二人はこの先の未来を約束されているものだから。
二人に温度差はあれど、婚約には前向きみたいだし。

あまりにも咲玖がノー天気すぎて、若干九竜が気の毒でもあるけど…まあそこは頑張ってって感じよね。

でも、普通は違う。
恋をして一緒になっても、ダメになったらそこで終わり。

友達に戻れなくなるのが、怖い。

そんな風に思うほど、私の中で彼の存在は大きかったけれど、目を逸らしたくて必死だった。


* * *


それからの黄瀬くんは、普段通りに友達として接してくれた。
いつも咲玖が一緒にいることも大きかったのかもしれないけど、今まで通りの関係で小学校を卒業し、中学に入学した。

まさかの三人一緒で同じクラスになるとは思わなかったけれど。
私は同じクラスになるのは小4以来。

久しぶりに同じクラスになって、初めて知る彼の一面もあった。

まず、初対面の時よりも圧倒的に明るくなったこと。
親睦会のカラオケでは、常盤くんに呼ばれて男子たちの中で楽しそうに話していた。
自己紹介の時も明るくハキハキと話していたし、いつの間にか誰とでも打ち解けられる人になっていた。


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