地味系男子が本気を出したら。
そして、意外に音楽の趣味が同じだったこと。
同じバンドが好きだったことも、好きな曲もよく聞く曲も似ていた。
意外と黄瀬くんの趣味の話を聞いたことがなかったと、今更気づいた。
しかもびっくりするくらいに歌が上手い。
採点していたらかなりの高得点が出ていたと思う。
結構長く友達やってるけど、まだまだ知らないことがあるのかもしれないわね――…。
「桃ちゃん、おはよう!」
「おはよう。今日はポニテなのね」
「うん!体育あるからまとめてきたの」
咲玖は近頃オシャレにどんどんハマっていて、どんどんかわいくなってる。
「ねぇ桃ちゃん、下駄箱にこんなメモが入ってたんだけど、なんだと思う?」
咲玖が見せてきたメモには、「放課後体育館裏に来てください。」というもの。
名前はないけど、多分男子ね。
「気にしなくていいんじゃない?」
「そうなの?」
「名前が書いてなくて誰なのかわからないなんて、怖いでしょ。悪戯かもしれないわよ」
「そっかぁ」
感謝しなさいよ、九竜。
あんたのかわいい許嫁が告白されそうなの、阻止してあげたんだからね。
「――えっ!?嘘っ!?」
その時、教室のドアが開いた音がしたと思ったら、女子の誰かが驚いた声をあげた。
その後、ざわっと教室中がざわつく。