君がたとえあいつの秘書でも離さない
「彼女を得る、得ないは実はどうでも良くなってきました。最近は彼女の顔を見ると匠さんの女だと思うだけで、冷めてきたし。単に、匠さんをやっつけたいだけですよ。兄さんも長年の恨みが溶けてすっとするでしょう」
「すでに、さくらさんはウチの嫁なんだから関係ないと思うがな」
「どうでしょうかね。匠さんにフラれて自殺未遂までした彼女を嫁にしたんだ。複雑でしょ、そりゃ」
「……」
弘は自室へ戻ると、遙に向き直った。
「古川さん、来週からゴールデンウィークの休みに入るけど、君は実家に帰るの?」
「いえ。今年は旅行に行こうかと思っています」
「それはいいね。どこに?」
「箱根の温泉にでも」
「ふーん。誰と行くのとは聞かないで置こうか」
「……」