君がたとえあいつの秘書でも離さない
「このまま実家に帰ります。これから電話してみる。いないかもしれないけど」
「実家は神奈川だよな?近い?」
「ううん、近くはないけど、大丈夫電車でも帰れます」
「途中いいところまで送るから。悪いが帰る準備してくれ。時間がないんだ」
こんな顔の匠さんは初めて見た。
何かある……その時はうっすら思ったが、旅行が楽しかったせいで深く考えていなかった。
浮かれていた自分をあとで後悔することになるとはその時は思ってもいなかった。
実家へ帰った私は、翌日出たその記事のことを知らずに過ごしていた。
久しぶりに地元の友人とあったりして、すっかり自分の時間を過ごしていたからだ。