君がたとえあいつの秘書でも離さない
 「そうか?遙よりも大切にしてるように見える?」
 
 私は彼の手に自分の手を重ねた。

 「いいの。私は何も考えず側にいられるだけでいい。夢みたい」

 「じゃあ、これから遙を半年ぶりに夢の国へご招待だ」

 そう言うと、私をベッドに倒して、そっと身体に触れた。

 「優しくする。いい?」

 「聞かないで。私も匠さんに抱いて欲しかった。貴方の子がお腹にいても、側にぬくもりがないとやっぱり寂しくて泣いていた」

 彼は、私に覆い被さりキスを身体中に落としていく。

 「……好き、好きなの、匠さん……もうどこにもいかないで」

 「……ああ、遙……愛してる」

 彼が優しく私の全てに触れていく。
 久しぶりに彼のぬくもりに包まれたせいで、自分がどこにいるのかわからなくなるくらい、乱れてしまった。
 やっとひとつになって、離さないでとすがりついて希う。
 彼は私の言葉にさらに強く、深くなっていく。
 夢がやっと現実に戻ってきた。
 覚めない夢でありますように……。 
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