君がたとえあいつの秘書でも離さない

 「ここへ一緒に住むつもりだから、子供部屋を作るとか、その他模様替えとか遙のいいようにしてくれ。とりあえず、孫をどうしたって両親が側で育てたがっているし。出産してしばらくは奈津も近くにいたほうがいいだろうし。出産は実家に行きたい?」

 「そうね。仕事もしていないし、親孝行のつもりで出産前と後はしばらく実家にいようかなと思ってる。匠さんもアメリカだろうし」

 「いや、何が何でも仕事を片付けて、出産前後は帰るぞ。育児休暇を取る」

 「え?」

 「率先して取るんだ。社員のためにもね」

 「ちょうど、予定日が年末近いし、お正月は帰ってこられるだろうから間に合うかなとか思っていたの」

 ベッドのうえで私を抱きしめながら、お腹をさする。

 「そう言われてみればそうか。いや、関係ない。とにかく、いつ何時生まれてもいいように仕事は片付けておく」

 「……匠さん。なんかすごい勢い。やっぱり子供が大切なのね?」
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