君がたとえあいつの秘書でも離さない
 
 「そんな鳩が豆鉄砲食らったような顔しないで。わかりやすく言うと、まあ、似たような会社経営者の子供が集まって親のまねごとをして収益を上げようとするというか」
 
 何ですって?
 
 「一時期だけやるんだ。そして卒業と同時に解散する。勉強も兼ねて」
 
 「……私達庶民にはわかりにくいですけど、要は将来のために色々やってみるということですね」

 「そう。たくさんの従業員を預かってからは失敗できない。従業員のいない会社を作って経営のまねごとをして難しさを知るんだ」
 
 はー、匠さんと私って世界が違う。

 春樹のいうとおり、雲の上の殿上人だね。
 
 「世界が違うとか思ってるだろ?違わないぞ。弘君の秘書やってるだろ。同じ舞台にいるんだぞ」
 
 そうだけど、そうだけど……違うでしょ。

 少なくとも私は親もサラリーマン。
< 52 / 274 >

この作品をシェア

pagetop