雪降る夜はあなたに会いたい 【上】

 その二箱と家族の分を持ってレジに行くと、私を押しのけるように創介さんがカードを店員さんに渡そうとした。

「家族の分もあるし私のバイト先ですから、私が払います」
「バカなことを言うな。俺も礼をする必要があると言っただろ」

つい言い合ってしまったけれど、後ろを見ればレジを待っているお客さんが何組かいる。

「すいません、これでちょうどなのでよろしくお願いします」

私は強引に、家族の分のお土産代を含めた七千七百円を置いて逃げるように店から出た。

「おい、雪野っ」

追いかけて来た創介さんが私の肩を掴む。

「俺が払うと言っただろ」
「それだと私の感謝の気持ちが入らなくなります」
「おまえが払うなら、勝手に物を選んだりしなかった。六千円はおまえにとって無理のない値段なのか? 無理してるのか? 正直、俺には分からないんだ」

二人向き合って、こんな話をしていることに急に可笑しくなってしまった。

「急に笑い出してどうした」

怪訝な目を向けられて、創介さんを見上げる。

「じゃあ、こうしましょう。二人でお金を出し合う。これなら、二人の気持ちを込められます」
「え?」
「ちょうど半分に。ね?」

驚いた顔をした創介さんに、ニッと笑った。

「では、三千三百円ください」
「分かった。ちょっと、待て。普段、現金をあまり使わないんだ」

そう言って長方形の革製の財布と格闘し始める。
一目見ただけで高いものだと分かる黒いコートを当然のように着こなし、恐ろしいほどに高価そうな財布からお金を出すその姿がなんだか滑稽で。

そんな創介さんを可愛いと思ってしまった。

「これで、いいか?」
「はい。確かに。ありがとうございます」

お金を受け取り、大きく頭を下げた。

「雪野といると、いつもは考えないようなことを考えさせられる」

そう言って創介さんは笑った。

二人でお金を出し合って買う――。

そんな、なんてことないことだけれど、二人でしたということが大切で。創介さんにお金を出してもらうよりずっと嬉しいことなのだ。

「えらく嬉しそうだな。何が、そんなに嬉しいんだ?」
「いえ。いいんです」

自ら創介さんの手のひらに指を滑り込ませた。

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