アネモネ
「早瀬さん、、"あなたを信じて待つ"です」
人の胸の内など遠く及ばぬ、
容易く私の想像の範疇を超えていく、
庭に咲くアネモネの花を一掴み分けてもらい、
透子が眠る村外れの菩提寺へと足を運んだ。
探すまでもなく、一番立派で存在感のある墓、
見上げれば空高く鳶が舞う、
視線を落とせば、
墓前に佇む老婆らしき人影が、
墓に向かい一心に手を合わせていた。
誰だろう?
互いの顔が見える場所まで近づくと、老婆が祈りを解いて顔を上げた。
ま、まさか!
「今頃きたのか? 辰哉」
「どうして母上が、透子の墓に?」
「許嫁でも嫁と同じじゃ、墓ぐらい参ろうに」
母の言葉に、ある疑念が頭を掠めた、、
「母上が透子に話したのですか?」
「、、そうじゃ、悪かったか?」