アンコール マリアージュ
やがて、事務のパートの女性が二人出勤して来るなり、鳴り続ける電話の受話器を急いで上げた。

そしてまた同じ様に、挙式のご予約ですか?と驚いている。

皆が予約ファイルに手を伸ばし、ペンで次々と日にちに印を入れていく。

お名前と連絡先を聞き、来店の予約を入れて、ようやく通話を終えると、すぐまた電話が鳴る。

他の社員も出勤してくる度、異様な光景に驚いて、皆で必死に電話に応対する。

しばらくしてから、耐え切れなくなった様に久保が声を上げた。

「ちょっと待って!どういう事?何が起こってるの?」

電話の呼び出し音が響き渡る中、美佳が、あっ!と声を上げた。

「な、何?美佳ちゃん」
「今日、8月4日ですよ!」
「それが何?」
「テレビ放送の日です!ほら、サプライズウェディングの」

ああー!と皆は声を上げた。
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